詰め物・被せ物が外れたときはどうする?応急処置と再装着・作り直しの判断基準【亀戸】
2025.11.28更新

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「食事中にカチッと違和感があって、見たら詰め物が外れていた」「被せ物が浮いたまま放置していいのか不安」――診療室でよくいただくご相談です。外れた瞬間は驚きますが、落ち着いて対応すれば多くはきれいに立て直せます。大切なのは、むやみに自分で戻さないこと、そして早めに状態を把握すること。ここでは、受診までの応急処置、再装着で済むケースと作り直しが必要なケースの見分け方、再発を防ぐポイントを、私の診療での説明に沿ってまとめます。
目次
- なぜ外れるのか――詰め物・被せ物が外れる典型的な理由
- 受診までの応急処置と“やってはいけないこと”
- 再装着で済むケース/作り直しが必要なケース
- 診断の進め方と治療の流れ
- 痛みがないとき・あるときの過ごし方
- 再発を防ぐためのホームケアと通院のコツ
- よくいただく質問
- まとめ
なぜ外れるのか――詰め物・被せ物が外れる典型的な理由
外れる原因はひとつではありません。多いのは、接着部にむし歯(2次カリエス)ができて接着面が壊れるパターン。ほかにも、長年の咬む力で接着材が疲労する、被せ物の適合が合っていない、歯ぎしり・食いしばりで一点に力が集中している、歯の中で土台や歯質が割れている――などが挙げられます。
「外れた=治療が失敗」ではありません。口腔内は常に変化しています。歯ぐきが下がる、むし歯ができる、噛み合わせが微妙に変わる――こうした時間要素が積み重なって外れに至ることも珍しくありません。
受診までの応急処置と“やってはいけないこと”
外れた詰め物・被せ物は清潔なケースに保管し、そのまま持参してください。つい戻したくなりますが、市販のボンド等で固定しないこと。誤飲・誤嚥の危険や、歯や歯ぐきの化学的な火傷につながることがあります。
痛みがなければ、外れた側で硬いものを噛まないよう気をつければ数日程度は様子見が可能です。しみる場合は、冷たい飲食を避け、常温のものを反対側で。穴が大きいときは、薬局で買える仮封材で一時的にフタをする方法もありますが、自己判断は最小限に。早めの受診が結局の近道です。
やってはいけないこと(最小限の要点)
- 市販ボンドや瞬間接着剤での固定
- 強く噛み込んで無理に戻すこと
- 外れたまま硬い・粘着質の食べ物を噛むこと
- 痛み止めの連用で受診を先延ばしにすること
再装着で済むケース/作り直しが必要なケース
外れたものを洗浄・消毒して再装着できるのは、①詰め物・被せ物自体が破損していない、②歯や土台に新しいむし歯がほとんどない、③外れた原因が一時的な接着不良や力の偏りと判断できる――こうした条件のときです。
一方、作り直しになるのは、詰め物・被せ物の縁が欠けている・変形している、歯側にむし歯が広がって形が変わっている、土台や歯そのものにヒビ・破折が疑われる場合。特に二次カリエスが進んでいると、同じものを戻しても密着が得られず、再発の温床になります。
診断の進め方と治療の流れ
診療ではまず、肉眼と拡大視野で歯の縁や土台の状態を確認し、必要に応じてレントゲンで内部のむし歯や歯根の状態を調べます。
再装着の適応なら、歯面と補綴物を徹底クリーニングし、接着をやり直します。
補綴再製が必要なら、むし歯を取り切り、適切な土台(必要に応じてファイバーコア)を整え、仮歯で噛み合わせと清掃性を確認しながら最終物へ進みます。
歯の破折が深い場合は、保存の可否を慎重に評価します。条件がそろえば部分的な矯正的挺出で歯肉縁上に縁を引き上げて保存する選択肢もあります。
痛みがないとき・あるときの過ごし方
痛みがないからといって放置は禁物です。外れた部位は汚れが溜まりやすく、短期間でむし歯が進むことがあります。受診まではやさしいブラッシングとフロスで周囲を清潔に。
痛みが強い場合は、むし歯が神経近くまで進んでいる、あるいは咬合の過負荷が背景にあることが多い印象です。市販の鎮痛薬で一時的に和らげられますが、早めの診断が最優先です。
再発を防ぐためのホームケアと通院のコツ
詰め物・被せ物は清掃のしやすさが寿命に直結します。歯間部はフロスや歯間ブラシで毎日一往復、縁の境目をやさしくなぞること。咬む力が強い方は、ナイトガードで一点集中の力を分散すると脱離の再発が減ります。
定期検診では、接着縁の色調変化(二次カリエスのサイン)や咬合接触の偏りを早期に補正できます。問題が小さいうちに手当てすることが、作り直しの回数を減らす近道です。
よくいただく質問
Q. 外れた物は必ず持っていくべきですか?
はい。再装着の可能性を判断する材料になります。破損していても、型や材料の手掛かりになることがあります。
Q. 応急接着のまま使い続けられますか?
応急はあくまで一時対応です。密着や咬合の微調整を行って本接着に移行しないと、再脱離やむし歯の温床になります。
Q. 作り直す場合、素材は何が良いですか?
部位や清掃性、咬み合わせ、見た目の希望、費用感で最適は変わります。清掃性と適合を優先して設計し、見た目はその中で調整する――これが長持ちのコツです。
Q. 短期間で何度も外れます。根本原因は?
咬合力の偏り、歯ぎしり・食いしばり、歯質側のむし歯や亀裂が疑われます。噛み合わせの評価と生活面(就寝中の力対策)をセットで見直すと改善が期待できます。
まとめ
外れたら自分で接着しない。清潔に保管してできるだけ早く受診。
再装着は補綴物と歯が健全なときに有効。むし歯・破損・適合不良があれば作り直しが安全。
再発防止は、境目の清掃・咬合の見直し・定期検診の三本柱。
痛みの有無にかかわらず、早期の評価が将来の治療負担を軽くします。
「再装着で済むのか、作り直すべきか」を迷ったら、まずは現状の確認から。亀戸で生活に合わせた現実的なプランを、一緒に立てていきましょう。








































