
こんにちは。亀戸駅徒歩5分の歯医者、亀戸WADA歯科・矯正歯科 院長の和田です。
年齢を重ねるにつれて、「以前よりも食べ物が歯に挟まりやすくなった」「冷たいものが歯の根元にしみる」といった変化を感じることはありませんか? それは、加齢や歯周病の影響で歯茎が下がり、本来隠れているはずの「歯の根っこ」が露出してきているサインかもしれません。
実は、この露出した根っこ部分は非常に虫歯になりやすく、進行も早いという危険な特徴を持っています。これを「根面う蝕(こんめんうしょく)」と呼び、高齢者の歯を失う大きな原因の一つとなっています。 また、入れ歯を使用されている方にとっては、入れ歯に付着した細菌が肺に入ることで引き起こされる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」のリスクも無視できません。
ご自身でのケアが難しくなってきた時、あるいはご家族の介護が必要になった時、どのようにお口の健康を守ればよいのでしょうか。 本記事では、高齢期に特有の虫歯リスクへの対策と、プロが推奨する入れ歯ケアの手順について、詳しく解説していきます。
目次
1. 高齢者の歯を狙う「根面う蝕」とは?
「若い頃は虫歯なんて一本もなかったのに、急に歯が折れてしまった」 高齢の患者様から、このようなご相談を受けることがよくあります。その原因の多くが「根面う蝕」です。
1-1. なぜ「根っこ」は虫歯になりやすいのか
歯の頭の部分(歯冠)は、人体で最も硬い「エナメル質」という鎧で守られています。しかし、歯茎が下がって露出した歯の根っこ(歯根)は、「象牙質」という比較的柔らかい組織がむき出しの状態です。 象牙質はエナメル質に比べて酸に弱く、非常に溶けやすい性質を持っています。そのため、少しの磨き残しやプラーク(歯垢)の付着でも、あっという間に虫歯になってしまうのです。
1-2. 自覚症状が少ない「沈黙の進行」に注意
根面う蝕の怖いところは、痛みが出にくいことです。高齢になると歯の神経が細くなったり、感覚が鈍くなったりしているため、虫歯が進行していても「しみる」「痛い」と感じにくい傾向があります。 気づいた時には、虫歯が歯の内部深くまで進行し、食事の拍子にポキリと歯が折れてしまう(歯冠破折)ケースも少なくありません。
2. 根面う蝕を防ぐための具体的アプローチ
露出してしまった歯根を元に戻すことは困難ですが、虫歯から守ることは可能です。
2-1. 高濃度フッ素配合歯磨き剤の活用
象牙質を強化するために最も有効なのが「フッ素」です。 現在、日本で認可されている最高濃度である**「1450ppm」**の高濃度フッ素が配合された歯磨き粉の使用を強くお勧めします。フッ素には歯の再石灰化を促し、酸への抵抗力を高める働きがあります。 うがいを少なめ(大さじ1杯程度の水で1回だけ)にすることで、フッ素をお口の中に長く留めることができます。
2-2. 歯茎を傷つけないブラッシング圧の調整
「しっかり磨こう」として力を入れすぎると、柔らかい象牙質は削れてしまい(くさび状欠損)、さらに歯茎が下がる原因にもなります。 鉛筆を持つように歯ブラシを軽く持ち、毛先が広がらない程度の優しい力で、小刻みに動かすのがポイントです。歯と歯茎の境目を意識して磨きましょう。
3. 誤嚥性肺炎を防ぐ!正しい入れ歯の清掃法
入れ歯(義歯)は人工物ですが、天然の歯以上に汚れがつきます。入れ歯に繁殖した「カンジダ菌」などの細菌やカビは、誤って唾液と一緒に気管に入ると「誤嚥性肺炎」の原因となり、命に関わることもあります。
3-1. 「機械的清掃」と「化学的清掃」のダブルケア
入れ歯ケアは、ブラシで物理的に汚れを落とす「機械的清掃」と、洗浄剤で殺菌する「化学前清掃」の両方を行うことが重要です。どちらか片方だけでは不十分です。
- 水を流しながらブラシで洗う: 食後は必ず入れ歯を外し、流水下で義歯用ブラシを使ってヌメリや食べカスを落とします。
- 洗浄剤に浸ける: 1日1回(就寝中など)は、入れ歯洗浄剤に浸け置きして、目に見えない細菌を除菌します。
3-2. 歯磨き粉はNG!入れ歯を洗う時の注意点
ご自身の歯を磨く「歯磨き粉」を入れ歯に使ってはいけません。歯磨き粉に含まれる研磨剤によって、柔らかい入れ歯の表面に細かい傷がつき、そこに細菌が入り込んで繁殖の温床になってしまうからです。 必ず、食器用洗剤(中性洗剤)か、専用の義歯用泡クリーナーなどを使用してください。
3-3. 夜間は外すべき?保管のルール
基本的には、就寝時は入れ歯を外して、歯茎やあごの骨を休ませることを推奨します。外した入れ歯は乾燥させると変形や破損の原因になるため、必ず洗浄剤や水の入った容器で保管してください。 ※ただし、噛み合わせの安定や残っている歯の保護のために「寝る時もつけていてください」と指示がある場合は、歯科医師の指導に従ってください。
4. 介護・介助が必要な方の口腔ケアのポイント
ご自身でケアが難しくなってきた方への介助磨きは、以下の点に注意してください。
- 姿勢を整える: 誤嚥を防ぐため、ベッドの背もたれを起こすか、横向きの姿勢で行います。
- 保湿ケア: 高齢者の口内は乾燥しがちです。ケアの前後には口腔保湿ジェルなどを使い、粘膜を保護しましょう。
- スポンジブラシの活用: 歯がない部分や頬の内側、舌の汚れは、湿らせたスポンジブラシで優しく拭き取るとスムーズです。
ご家族だけでのケアが難しい場合は、無理をせず歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。
5. まとめ
高齢期の口腔ケアは、単に歯を守るだけでなく、食事の楽しみを維持し、全身の健康を守る(肺炎予防)ために非常に重要です。
- 歯の根元には高濃度フッ素を使う
- 入れ歯はブラシと洗浄剤で毎日ケアする
- 変化があれば早めに歯科を受診する
これらを意識して、健やかな毎日をお過ごしください。 当院では、通院が難しい方へのアドバイスや、入れ歯の調整・新製、根面う蝕の予防処置にも力を入れています。
亀戸で高齢期の虫歯予防、入れ歯のケアや作成についてのご相談なら、亀戸WADA歯科・矯正歯科へお任せください。 患者様お一人おひとりの生活背景に寄り添い、最適なケアプランをご提案いたします。






























