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2025.11.14更新

その口臭、原因は一つじゃない?タイプ別の原因と今日からできる対策【亀戸】

 

「朝の口臭が気になる」「マスクの中で自分のにおいにハッとする」――診療室でも、勇気を出してご相談くださる方が増えました。口臭は“ひとつの原因”で起こるわけではありません。お口の清掃状態、歯周病、舌の汚れ、唾液量、詰め物の段差や合っていない被せ物、鼻や胃の病気、そしてストレスや生活リズムまで、複数の要素が組み合わさって立ち上がります。
大切なのは、「自分の口臭がどのタイプに当てはまるのか」を見極め、そのタイプに合った対策を選ぶこと。ここでは、私が診療で実際にお伝えしている順序で、口臭のタイプ別原因と、今日からできる現実的な対策をまとめます。

 

目次

 

まず知っておきたい口臭の基本

口臭の“におい”の多くは、口腔内細菌がタンパク質を分解するときに生じる揮発性硫黄化合物(VSC)が主体です。元になるタンパク質は、プラーク(歯垢)や舌苔、剥がれた粘膜、食べかすなど。さらに、唾液の量と流れがにおいの強弱に大きく関与します。唾液は自浄作用を担うため、減れば細菌が活発になり、においは立ち上がりやすくなります。
この“細菌×タンパク質×唾液”の三角形に、歯周病や詰め物の段差、鼻の疾患、胃食道逆流などが重なると、においは複雑になります。だからこそ、原因の見極めが近道です。

 

タイプ1:お口の汚れ型――プラーク・舌苔・食べかす

最も多いタイプです。歯面のプラーク、歯と歯の間の食べかす、舌の上の白い苔(舌苔)が主因です。磨いたつもりでも、歯間部や奥歯の溝、下の前歯の裏は取り残しの定番。舌の中央〜奥のざらついた部分に苔が溜まると、朝の口臭が強く出ます。
このタイプは、磨き残しの可視化と道具の見直しで改善しやすいのが特徴です。後述する「今日からできるセルフケア」をまず実践してください。

 

タイプ2:歯周病型――歯ぐきの炎症と揮発性硫黄化合物

歯周病は、歯と歯ぐきの境目の奥(歯周ポケット)で細菌が増え、組織を破壊していく病気です。出血を伴う炎症があるとタンパク質が豊富になり、VSCが発生しやすくなります。
歯周病型の口臭は、朝だけでなく一日を通じて持続しやすいのが特徴。歯ぐきが赤い・腫れている・歯間に食べかすが挟まる・歯が揺れる、などのサインがあれば要注意です。対処の主軸は、プロの歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)と、正しいホームケアの組み合わせです。

 

タイプ3:唾液減少型――口呼吸・ドライマウス

口呼吸の習慣・水分摂取不足・ストレス・薬の副作用(抗うつ薬・降圧薬・抗アレルギー薬など)で唾液が減ると、細菌の代謝産物が洗い流されず、口臭が立ち上がります。会議で緊張したとき、長時間マスクで口が乾いたとき、朝起き抜け――においが強くなるのは、唾液の減少が背景にあるサインです。
改善には、鼻呼吸の意識・こまめな水分・唾液腺マッサージに加え、就寝時の口テープや加湿が有効なことがあります。口腔乾燥が強い場合は、唾液代用のジェルや洗口剤を使う選択肢もあります。

 

タイプ4:補綴・矯正装置由来型――段差・清掃不良・破損

合っていない被せ物の縁、古い詰め物の段差、入れ歯の裏側、矯正装置周りは、バイオフィルムが溜まりやすい“隠れ家”です。清掃が届かない場所がある限り、においは再発します。
このタイプは、装置の調整や作り変えまで含めて考える必要があります。清掃性の高い形に整え直し、道具も歯間ブラシ・ワンタフトブラシ・スーパーフロスなどにアップデートしましょう。

 

タイプ5:全身・耳鼻科領域が関わる型

蓄膿症(副鼻腔炎)や扁桃炎、鼻閉による慢性的な口呼吸、胃食道逆流、糖尿病や肝機能障害など、口腔外の要因が口臭を助長することがあります。薬剤性の口渇も見逃せません。
歯科での評価で口腔内要因が主体でないと判断した場合は、耳鼻咽喉科や内科との連携をご案内します。原因が複合的なことも多いため、分担して整えていくのが現実的です。

 

今日からできるセルフケア

文章で丁寧に書きます。視認性のため、要点は最小限の箇条書きで示します。

まず、磨き方の再設計から始めましょう。歯ブラシは小さめのヘッドを選び、力を入れ過ぎずペン持ちで。下の前歯の裏、上の奥歯の頬側、噛む面の溝――この三つは“残りやすい”要注意ゾーンです。加えて、歯間ブラシやフロスで歯と歯の間を必ず一往復。サイズが合っていない歯間ブラシは逆効果なので、診療で適正サイズを合わせると成功率が上がります。
舌苔が目立つ方は、舌専用ブラシで奥から手前に軽く数回。やり過ぎは逆効果です。就寝前は水分をしっかり取り、アルコールや喫煙は控えめに。口呼吸が強い方は、鼻呼吸の練習(鼻から4秒吸って8秒吐く)や寝室の加湿も効果的です。

要点の確認

  • 歯ブラシは小さめヘッド・小さなストローク・力を入れ過ぎない
  • 毎日フロス/歯間ブラシを1か所ずつ丁寧に
  • 舌は専用ブラシで“軽く・少回数”
  • こまめな水分・就寝前の加湿・鼻呼吸の意識
  • コーヒー・アルコール・喫煙は“量とタイミング”を見直す

 

歯科でできるプロのケア

まずは現状の見える化から。染め出しや口臭測定器、プローブ検査、レントゲンで、どこに汚れが残りやすいのか、歯周病がどの段階かを確認します。
プロケアでは、スケーリング・ルートプレーニングで歯周ポケット内を整え、エアフロー等で舌背・歯面のバイオフィルム・ステインを効率よく除去します。補綴由来の問題があれば、段差の調整や作り直しをご提案します。歯列不正や咬合の問題が背景にある場合は、清掃性と力のコントロールを両立する計画を一緒に考えます。

 

よくいただく質問

Q. ミント系のタブレットでごまかせませんか?
一時的なマスキング効果はありますが、原因の解決にはなりません。乾燥を助長する製品もあるため注意が必要です。

Q. 舌苔は毎日しっかり取ったほうが良いですか?
取り過ぎは粘膜を傷つけ、逆に舌苔が増えることがあります。軽く・少回数で十分です。

Q. うがい薬は有効ですか?
一時的な抑制効果はありますが、機械的な清掃の代わりにはなりません。乾燥しにくいタイプを選び、使い過ぎないことが大切です。

Q. 胃が悪いと口臭になりますか?
胃食道逆流などが関与することはありますが、多くは口腔内要因です。歯科で評価した上で、必要に応じて内科・耳鼻科へご紹介します。

 

まとめ

口臭は複数の要素が重なって生じます。自分のタイプを見極めることが第一歩。
プラーク・舌苔・歯周病・唾液減少・補綴の段差・全身要因――どこに起点があるかで対処は変わります。
今日からのセルフケア(歯間清掃・舌ケア・水分・鼻呼吸・加湿)と、定期的なプロケアの二本柱で、多くの方は改善が期待できます。
においは“恥ずかしいもの”ではなく、体のサインです。原因に合った対策を選べば、結果はついてきます。
亀戸周辺で「まずは原因を知りたい」という方は、現状の見える化から始めましょう。生活に合わせた現実的なプランを、診療室で一緒に組み立てていきます。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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TEL:03-5875-2222

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