
「朝起きたとき、口のにおいが気になる」
「マスクの中で、自分の息にハッとした瞬間がある」
診療室でも、勇気を出してこのようなご相談をくださる患者さんが増えています。口臭はとてもデリケートな悩みですが、決して恥ずかしいことではありません。それは体が発している「サイン」だからです。
実は、口臭の原因は一つだけではありません。お口の汚れ具合、歯周病の進行、唾液の量、あるいは詰め物の不具合や全身の体調など、複数の要素が複雑に絡み合って発生します。
この記事では、私が日々の診療で患者さんにお伝えしている「口臭の5つのタイプ別原因」と、それぞれのタイプに合った「今日からできる対策」を丁寧に解説します。
まずはご自身の口臭がどのタイプに当てはまるのかを知り、正しいケアへの第一歩を踏み出しましょう。
目次
- 口臭が発生する基本メカニズム
- あなたはどれ?口臭の5大原因タイプ
- タイプ1:お口の汚れ型(プラーク・舌苔)
- タイプ2:歯周病型(歯ぐきの炎症)
- タイプ3:唾液減少型(口呼吸・ドライマウス)
- タイプ4:補綴・矯正装置型(詰め物・入れ歯)
- タイプ5:全身・他科領域型
- 院長が勧める「今日からできるセルフケア」
- 原因を絶つ!歯科医院で行うプロフェッショナルケア
- 口臭についてよくある質問(Q&A)
- まとめ:ひとりで悩まずご相談ください
口臭が発生する基本メカニズム
まず、敵を知ることから始めましょう。口臭の主な原因となる“におい”の正体は、お口の中の細菌がタンパク質を分解するときに発生させるガスです。専門的には「揮発性硫黄化合物(VSC)」と呼ばれ、卵が腐ったようなにおいや、生ゴミのようなにおいの元となります。
このガスが発生する条件は、以下の3つの要素が重なったときです。
- 細菌のエサ(タンパク質): 歯垢(プラーク)、舌の汚れ(舌苔)、食べかす、血液など。
- 細菌の活動: お口の中に住み着いている細菌たち。
- 唾液の減少: 唾液にはお口を洗い流す「自浄作用」があります。これが減ると細菌が暴れ出します。
この「細菌×汚れ×乾燥」のトライアングルに加え、歯周病や詰め物の不具合などが重なることで、においはより強く、複雑になっていきます。
あなたはどれ?口臭の5大原因タイプ
ここからは、より具体的な原因を5つのタイプに分けて解説します。ご自身がどれに当てはまりそうか、チェックしながら読み進めてみてください。
タイプ1:お口の汚れ型(プラーク・舌苔)
最も多くの患者さんに見られるのがこのタイプです。主な原因は、歯磨きで落としきれていない「磨き残し(プラーク)」や、舌の上に溜まった白い苔のような汚れ「舌苔(ぜったい)」です。
特に、以下の場所は要注意ゾーンです。
- 奥歯の噛み合わせの溝
- 歯と歯の間
- 下の前歯の裏側
- 舌の中央から奥の部分
「毎日磨いているつもり」でも、ブラシが届いていない場所があると、そこからにおいが発生します。このタイプの方は、正しいケア用品を使いこなすことで、劇的な改善が期待できます。
タイプ2:歯周病型(歯ぐきの炎症)
歯周病は、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)で細菌が繁殖し、組織を破壊していく病気です。
炎症が起きて出血や膿が出ると、それらは細菌にとって格好のエサ(タンパク質)となり、強烈なにおいのガス(VSC)を発生させます。
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯磨きをすると血が出る
- 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった
これらに心当たりがある場合は、歯周病型の可能性が高いでしょう。このにおいは朝だけでなく、一日中持続しやすいのが特徴です。ご自宅でのケアだけでは限界があるため、歯科医院での専門的な治療が不可欠です。
タイプ3:唾液減少型(口呼吸・ドライマウス)
「緊張すると口が乾いて口臭が強くなる」という経験はありませんか?
唾液は、お口の中の細菌や汚れを洗い流し、繁殖を抑える天然の洗口液です。ストレスや加齢、口呼吸の習慣、あるいは薬の副作用(降圧剤や抗アレルギー薬など)によって唾液が減ると、細菌が一気に増殖してにおいが立ち上がります。
朝起きた直後に口臭が強いのも、寝ている間に唾液が減るためです。
タイプ4:補綴・矯正装置型(詰め物・入れ歯)
お口の中に入れている人工物が原因になるケースです。
古くなった詰め物の段差、合っていない被せ物の隙間、入れ歯の裏側、矯正装置の周りなどは、歯ブラシが届きにくい「細菌の隠れ家」になりがちです。
どんなに丁寧に歯磨きをしていても、構造的に汚れが溜まりやすい場所がある限り、においは再発してしまいます。この場合は、装置の調整や作り直しを含めた対策が必要です。
タイプ5:全身・他科領域型
お口の中に原因が見当たらない場合、全身の疾患が関わっている可能性があります。
蓄膿症(副鼻腔炎)や扁桃炎、胃食道逆流症、糖尿病、肝機能障害などが代表的です。
歯科での検査で口腔内の問題が主因ではないと判断した場合は、適切な診療科(耳鼻咽喉科や内科など)への受診をご案内し、医科歯科連携で解決を目指します。
院長が勧める「今日からできるセルフケア」
原因が分かったところで、まずはご自宅で今日から実践できる対策をご紹介します。基本は「物理的に汚れを落とすこと」と「潤いを保つこと」です。
1. 歯ブラシの選び方と使い方
ヘッドが小さめの歯ブラシを選びましょう。奥歯や歯の裏側まで届きやすくなります。持ち方はペンを持つように軽く握り、ゴシゴシと力を入れずに小刻みに動かすのがポイントです。
2. 「歯間ケア」を習慣にする
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れの6割程度しか落ちません。デンタルフロスや歯間ブラシを必ず併用してください。「一日一回、夜寝る前」だけでも効果は絶大です。ただし、サイズが合わない歯間ブラシは歯ぐきを傷つけるため、一度歯科医院で適正サイズを確認することをお勧めします。
3. 舌苔はやさしくケア
舌の汚れが気になるときは、舌専用のブラシやクリーナーを使いましょう。奥から手前に向かって、軽い力で数回撫でるだけで十分です。力を入れすぎると舌の表面が傷つき、かえって汚れが付きやすくなるので注意してください。
4. 唾液を増やす工夫
こまめな水分補給を心がけましょう。また、よく噛んで食事をすることや、簡単な「唾液腺マッサージ(耳の下や顎の下をやさしく揉む)」も有効です。口呼吸の癖がある方は、意識して鼻呼吸をするよう心がけたり、就寝時のマウステープを活用したりするのも良いでしょう。
原因を絶つ!歯科医院で行うプロフェッショナルケア
セルフケアで落とせる汚れには限界があります。根本的な解決を目指すなら、私たちプロにお任せください。当院では、以下のような手順でケアを行います。
- 現状の見える化: レントゲン検査や歯周ポケット検査を行い、においの発生源を特定します。どこに汚れが残りやすいか、歯周病がどの程度進行しているかを客観的に診断します。
- 徹底的なクリーニング: 専用の機器を使い、普段の歯磨きでは取れない歯石や、バイオフィルム(細菌の膜)を徹底的に除去します。
- 環境の改善: 古い詰め物の段差や合わない被せ物がある場合は、清掃性の高い形への修正や作り直しをご提案し、汚れが溜まらない環境を整えます。
口臭についてよくある質問(Q&A)
Q. ミント系のタブレットで口臭は消せますか?
A. 一時的にミントの香りでにおいを覆い隠す(マスキングする)ことはできますが、根本的な原因である細菌や汚れがなくなるわけではありません。種類によっては口の中が乾燥しやすくなるものもあるため、頼りすぎには注意が必要です。
Q. 胃が悪いと口臭になりますか?
A. 胃炎や逆流性食道炎などが口臭の原因になることもありますが、実際には口臭原因の約9割はお口の中にあると言われています。まずは歯科で口腔内の原因がないかを確認し、それでも改善しない場合に内科的な要因を疑うのが近道です。
まとめ:ひとりで悩まずご相談ください
口臭は、あなた一人で抱え込む悩みではありません。
「プラークなどの汚れ」「歯周病」「唾液の減少」「被せ物の不適合」など、必ず原因があり、その原因を取り除けば改善できる症状です。
大切なのは、自己判断で洗口液を使い続けるのではなく、まずはプロの目で「あなたの口臭タイプ」を見極めることです。
当院では、患者さんのプライバシーに配慮しながら、科学的な根拠に基づいた診断と治療を行っています。
亀戸で口臭治療や歯周病治療についてのご相談なら、[クリニック名]へお任せください。
あなたが自信を持って会話を楽しめるよう、私たちが全力でサポートいたします。






























