
「朝起きると、なんとなく奥歯が重だるい…」
「治療したばかりの詰め物が、また欠けてしまった」
「冷たいものがしみるけれど、虫歯ではないと言われた」
診療室で患者さまのお話を伺っていると、こうしたお悩みを抱えている方が非常に多いことに気づきます。
実はこれらすべて、寝ている間の「無意識の歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)」が原因である可能性が高いのです。
こんにちは。亀戸WADA歯科・矯正歯科、院長の和田です。
睡眠中の噛む力は、体重の数倍にもなると言われています。それほどの力が毎晩かかり続ければ、どんなに丈夫な歯や高価なセラミックも、悲鳴を上げて壊れてしまいます。
そんな「破壊的な力」からあなたの大切な歯を守る最も有効な手段が、今回ご紹介する「ナイトガード(就寝用マウスピース)」です。
この記事では、ナイトガードがどのような役割を果たすのか、ハードタイプとソフトタイプの違い、そして長く使い続けるためのコツまで、歯科医師の視点で徹底解説します。
ご自身の大切な歯を、物理的なダメージから守る方法を一緒に学びましょう。
目次
- あなたは大丈夫?歯ぎしり・食いしばりのセルフチェック
- なぜマウスピースが必要?お口の中で起きている「破壊」の正体
- ナイトガードの役割:「守れるもの」と「限界」を知ろう
- どっちを選ぶ?「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」の違い
- 費用や期間は?歯科医院で作る流れ
- 特別なケース(矯正中・インプラント・子供)の注意点
- よくあるご質問(違和感・お手入れ・寿命について)
- まとめ:ナイトガードは歯を守るための「保険」です
1. あなたは大丈夫?歯ぎしり・食いしばりのセルフチェック
歯ぎしりや食いしばりは、基本的に「寝ている間の無意識の行動」であるため、ご自身では自覚がないケースがほとんどです。
しかし、お口の中を見れば、その痕跡(証拠)ははっきりと残っています。まずは以下の項目に当てはまるかチェックしてみてください。
- 朝起きた時、顎(あご)がこわばっている、だるい
- 歯の先端が削れて平らになっている
- 歯の根元がくさび状に削れている(アブフラクション)
- 上あごの真ん中や、下あごの内側に骨のコブ(骨隆起)がある
- 頬の内側や舌の側面に、歯形の跡がついている
- 家族に「歯ぎしりをしていた」と指摘されたことがある
- 日中、パソコン作業や運転中に上下の歯が触れている(TCH)
これらに一つでも当てはまる場合、あなたの歯には毎晩、過酷な負荷がかかっている可能性があります。
2. なぜマウスピースが必要?お口の中で起きている「破壊」の正体
「たかが歯ぎしり」と侮ってはいけません。
睡眠中は脳のリミッターが外れるため、意識のある時とは比べ物にならないほどの強い力(60kg〜100kg以上とも言われます)が歯にかかります。
この力が継続的にかかると、以下のようなトラブルを引き起こします。
歯の破折・摩耗
エナメル質がすり減り、神経に近い象牙質が露出して「知覚過敏」になります。最悪の場合、歯が真っ二つに割れてしまい、抜歯が必要になることもあります。
詰め物・被せ物の破損
せっかく治療したセラミックや銀歯に過度な負荷がかかり、欠けたり外れたりします。接着剤が疲労して、隙間から虫歯(二次カリエス)になるリスクも高まります。
顎関節症の悪化
顎の関節や周囲の筋肉に負担がかかり、口が開かなくなったり、カクカク音がなったりする原因になります。
歯周病の進行
歯を揺さぶる力が加わることで、歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が早まり、歯周病が一気に悪化することがあります。
これらの「破壊」を食い止めるための防具が、ナイトガードなのです。
3. ナイトガードの役割:「守れるもの」と「限界」を知ろう
ナイトガードは、装着すれば「歯ぎしりが止まる(なくなる)」魔法の道具ではありません。
その本質は、「力を分散させ、歯の身代わりになって削れてくれる緩衝材(クッション)」です。
【ナイトガードで守れること】
- 上下の歯が直接ぶつかるのを防ぎ、摩耗を防止する。
- 歯にかかる力を全体に分散させ、一点集中による破折を防ぐ。
- 筋肉の緊張を和らげ、顎関節への負担を軽減する。
- 詰め物や被せ物(補綴物)の寿命を延ばす。
【ナイトガードの限界と併用すべき対策】
ナイトガードはあくまで物理的な防御です。根本的な原因である「食いしばり癖」を治すわけではありません。
そのため、日中に上下の歯を離す意識を持つ行動療法(TCH是正)や、ストレスコントロール、枕の高さの調整などを併用することが、根本解決には不可欠です。
4. どっちを選ぶ?「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」の違い
歯科医院で作るナイトガードには、主に2種類の素材があります。それぞれの特徴を理解して、ご自身に合ったものを選びましょう。
ハードタイプ(硬いレジン製)
特徴: カチカチとした硬いプラスチック素材。厚みの調整や、噛み合わせの微調整が精密に行えます。
メリット: 顎の動きをスムーズに誘導できるため、顎関節症の治療にも効果的です。耐久性が高く、穴が開きにくいです。
向いている人: 歯ぎしりが強い方、顎関節症の方、長期的に使いたい方。当院では基本的にこちらを推奨することが多いです。
ソフトタイプ(柔らかいシリコン製)
特徴: グニグニとしたゴムのような素材。
メリット: 装着時の違和感が少なく、初めての方でも馴染みやすいです。
デメリット: 柔らかいため、人によってはガムを噛むように無意識に噛んでしまい、かえって食いしばりを助長してしまうことがあります。穴が開きやすく、汚れも吸着しやすいです。
向いている人: ハードタイプの締め付け感がどうしても苦手な方。
5. 費用や期間は?歯科医院で作る流れ
市販のマウスピースもありますが、ご自身の歯型に合っていないものを使うと、噛み合わせが悪くなったり、顎を痛めたりする危険があります。必ず歯科医院で製作したものをご使用ください。
【製作の流れ】
- 検査・型取り 虫歯や歯周病のチェックを行った後、上下の歯の型取り(または口腔内スキャナーによる撮影)を行います。
- 製作 歯科技工所にて、あなたの歯型にぴったりのマウスピースを製作します。(通常1〜2週間程度)
- 調整・お渡し 出来上がったマウスピースをお口に入れ、当たりが強い部分や噛み合わせを微調整してお渡しします。
【費用について】
歯ぎしりや顎関節症の診断があれば、健康保険が適用されます。
3割負担の方で、およそ3,000円〜5,000円程度(検査料等は別途)で作ることが可能です。
6. 特別なケース(矯正中・インプラント・子供)の注意点
- 矯正治療中の方
- 歯並びが日々変化するため、硬いナイトガードは作れません。場合によっては矯正用のリテーナー(保定装置)がナイトガードの役割を兼ねることもありますが、担当医と相談が必要です。
- インプラントが入っている方
- インプラントは天然歯にある「歯根膜(クッション)」がないため、衝撃がダイレクトに骨に伝わります。インプラントを守るためにも、ナイトガードの装着は必須レベルでお勧めしています。
- お子さま(乳歯・生え変わり期)
- 子供の顎は成長途中であり、歯の生え変わりも頻繁です。基本的にはナイトガードは使用せず、姿勢の改善や生活習慣の指導で様子を見ることが多いです。
7. よくあるご質問(違和感・お手入れ・寿命について)
- Q. 装着すると違和感があって眠れません。
- A. 誰でも最初は異物感があります。まずは「お風呂上がりの1〜2時間」や「テレビを見ている時」など、起きている時間に装着して慣らすことから始めてみてください。それでも痛い場合は調整しますので、ご持参ください。
- Q. お手入れ方法を教えてください。
- A. 外した後は水(またはぬるま湯)で洗い、柔らかいブラシで汚れを落としてください。熱湯は変形の原因になるので厳禁です。臭いが気になる場合は、マウスピース専用の洗浄剤を週に1〜2回使用すると衛生的です。
- Q. どのくらいで交換が必要ですか?
- A. 歯ぎしりの強さによりますが、半年〜数年です。穴が開いたり、変色や臭いが取れなくなったりしたら作り替えのサインです。定期検診の際に持ってきていただければ、チェックいたします。
8. まとめ:ナイトガードは歯を守るための「保険」です
歯は一度削れたり割れたりすると、二度と元には戻りません。
ナイトガードは、寝ている間の無意識の力から、あなたの大切な歯と、時間とお金をかけて治療した詰め物を守ってくれる、いわば「歯の保険」のような存在です。
「自分は歯ぎしりをしているか分からない」「マウスピースが必要か診断してほしい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
お口の中を見れば、力のかかり具合はすぐに分かります。
亀戸で歯ぎしり対策やナイトガード製作をご希望の方は、亀戸WADA歯科・矯正歯科へお任せください。
あなたの歯型に合った、快適で長持ちするマウスピースをご提供し、歯の寿命を延ばすお手伝いをさせていただきます。






























